猫との田舎暮らしをめざして

今年は都会を脱出!

放射線治療とこれからについて悩む

放射線治療をどうする?

 

放射線治療を受けられる病院を地図で調べてみると、高速道路を使っても、うちから車で30分ほどかかることがわかった。バスであれば3本乗り継いで1時間はかかる。治療は12回で1クールだと聞いた。今は仕事をしていないので頑張れば通えそうだが、ロックダウンが解除され、仕事が再開したらとても大変になりそうだ。逆にいえば仕事が始まらないうちに、回数を稼いでおいたほうがいいのかもしれない。再発防止のためには、始めるなら早いほうがいいと獣医さんからもアドバイスを受けていた。

費用についてはどうか。

これは実際に聞いてみないと見当もつかない。一回につき1万円ぐらいはかかるのではないだろうか。だとしたら、正直かなり痛い出費だ。でもだからといって放射線治療をしなかったら、癌はすぐに再発して、手術でうにの身体に負担をかけた意味がなくなってしまう。

もしうにの癌が手遅れな状態で発見されていれば、治療の選択肢はとても限られたものになっていただろう。治療というより、苦痛を和らげるための対症療法しかできず、それも本当に効果があるのかどうかわからない。結局はうにが弱っていくのをただ見ているしかなくなっていたと思うし、それはとてもつらいに違いない。うまく完治するかはわからないけれど、今ならまだ試すべき治療法があるし、幸いなことに、うには病気の痛みを感じていないようだ。時間や費用などの負担は大きいが、やはりこのまま放置することはできない。できることはやってあげたいと思う。

手術から順調に回復し、癌の宣告がうそのように元気なうに。

今のうににとって、何をしてあげるのが一番いいのだろう。

本人と話し合って決めることができないのは口惜しいが、うにの立場になって考え、決めてあげたい。うにが痛みや苦しさをできるだけ感じずに、快適に生活できる日が一日でも長く続くようにしてあげたい。動物たちは、今この時を精いっぱい生きているという。辛さを我慢してでも無理に寿命を延ばすような治療を、うには望んでいないに違いない。獣医さんに自分の意思を伝えることができないうにに代わって、私がうにの後見人になろうと思った。

今考えられる治療は放射線治療だというが、効果と副作用はどれほどあるのだろうか。治療のメリットとデメリットを比べてみないと、本当にやる価値があるかどうかわからない。うにが苦しい目にあうだけなら、やらないほうがいいのかもしれない。ただ、その結果癌が再発してしまったら…。その時は、うにの寿命も尽きてしまうのだろうか? 考えたくもないけれど、やはりいざという時の心構えをしておく必要のある病気なのだと思い知らされたような気がした。

 

病院の予約を取る

 

癌の宣告を受けてからずっと色々な可能性を想像してみるものの、今の段階では治療についての情報が少ないので、だんだん私の考えも堂々巡りになってきていることに気づいた。

やはり、紹介された病院に連れていき、今のうにの状態と治療法について、しっかり話を聞いて来なくてはいけない。そのうえで、放射線治療を受けるべきかどうか決断することにしよう。

そこで予約をとるべく、病院に電話するがなかなかつながらない。3度ほどかけてみるが、お待ちくださいというメッセージの後、延々と音楽が流れるだけで、一向に誰かが出てくる気配がない。

翌日の朝もかけて、やっと受付につながった。

かかりつけの獣医さんで撮ったレントゲンと、いただいてきた紹介状をメールで送り、診察は翌週の初めに受けることになった。

幸い夫の仕事は休みの日で、車で連れて行ってもらえそうだ。ただ、これからもし通うようになれば、車を持たない私が連れていくことになるので、交通手段はきちんと調べておかなければならない。タクシーや配車サービスを毎回利用できれば便利だが、費用がかかり過ぎるのでできる限りバスを利用したい。その頃コロナウイルスによる外出禁止は緩和されつつあり、公共交通手段も本数が増えてきていたのは心強かった。

一方、自分の仕事がいつ再開になるかは依然として不透明だった。まもなく手術から3週間が経とうとしていて、気づいたらもう5月になっていた。毎日家にいると曜日の感覚があいまいになっていき、一日が長いような、短いような変な感じがする。それでも時は確実に過ぎた。特にうにの手術からは、あっという間に4月が終わったような気がする。5月の11日からは生活必需品以外の商店も営業を始めると聞いたが、私の勤務先が入っているデパートはどうなるのだろう。営業を再開後、しばらくの間は感染予防のため、スタッフは2つのチームに分かれる。そしてお互いのチームと接触しないために、交互に出勤する。だから当面は、一日置きの勤務になるという説明は受けていたものの、これだけ長時間仕事をしていなかったのだから、体力的にも精神的にも以前のペースを取り戻すには相当の時間がかかると思われた。

仕事と家のこと、そしてうにの通院。すべての段取りをつけてうまくやっていけるのか、不安が大きくなってきた。やってもみないのに悪いほうに考えてしまうのは、私の悪い癖だ。わかってはいるけれど、自分の気持ちを落ち着かせることができない。

とにかくすべては、来週の診察を受けてからだ...。

自分に言い聞かせた。

 

何だかやけに人間っぽいうに