猫との田舎暮らしをめざして

今年は都会を脱出!

癌の再発

放射線治療、最初の週が過ぎて

 

フランス各地でのコロナウイルス感染が拡大し、ロックダウンになって約2か月。飲食店は閉まっているものの、商店などの営業は徐々に再開し、外に出る人たちもだんだん増えつつあった。そんな状況下でうにの放射線治療を始めて、一週間が経った。

相変わらず病院の中にとどまることはできず、治療の間は外で待っていなければならない。周囲には適当に時間をつぶす場所もなく、毎回バス停のベンチで一時間ほど座っていて、頃合いになれば、病院の建物の前で待つ。うにがいつ出てくるかわからないので、いつも30分以上は建物の前に立って待っていた。麻酔からすぐに覚めなかったせいなのか、1時間以上待つこともたびたびあった。うにを連れてきてくれる看護師さんたちは親切で、待ち時間が長かった日は謝ってくれるのでこちらが恐縮してしまう。受付の人たちとも顔見知りになり、ちょっとした会話をするようになった。私も本を持参したり、仕事用の電話で調べ物をしたりして、長い待ち時間を少しでも有効に過ごせるように努めた。幸い日中は暑さを感じるほど天気のいい日が続いていたが、いつか雨が降ったら、どこで待っていようかと本気で悩んだ。

放射線治療を始めてから、一番の気がかりはうにの生活のペースが崩れてしまったことだった。治療は午後なのだが、毎回麻酔をかける必要があり、前日夜からほぼ一日近くは何も食べられない。うには病院に行く前からお腹を空かせ、帰りのバスの中では切なそうに鳴く。治療が終わったらすぐに何か食べさせたくてカリカリのエサを持参したが、麻酔後2時間は食事は禁止だと言われ、結局は毎回帰宅するまで待たせることになった。家に着くなりすごい勢いでエサを要求するうにだったが、それでも一日分の食事を一度に食べられるわけではない。また、治療のない日でも食事の時間がずれ、一日当たりの食事量も3分の2ぐらいに減ってしまった。病気の前は一日に2食、ほぼ規則的に食べていて、量も身体に見合っていたのに、こんなことで大丈夫なんだろうか。治療を頑張るには、しっかり食べて体力をつけないといけないんじゃないだろうか。病院の看護師さんに話してみても、解決策は見当たらなかった。そこで、本当はいけないのかもしれないが、午後の治療時刻から逆算して、深夜か早朝に少量のエサを与え、できるだけ空腹の時間を減らすように試みた。とにかく、食事の量を少しでも確保しようと思った。

 

またしこりが見つかる

 

3回ほど治療に通った日、久しぶりに担当の獣医さんに会った。

放射線治療の時は、病院に着いたらすぐ看護師さんにうにを預けているので、初診での検査以来、なかなか話す機会もなかった。治療が始まってからのうにの様子をひとしきり話してから、獣医さんは、うにの手術跡付近に、気になるしこりがあるのだと言った。初回の診察時に撮ったスキャンに、やや灰色の影として写っていたところだ。その時は、手術からあまり時間が経っていなかったので、傷の炎症かもしれないと言われていたが、やはり気になるしこりになりつつあるという。早速細胞を採って検査に回したので、一週間後には結果がわかるという。もし再発であれば、放射線治療は中断、再手術になるだろうとのことだった。

最初の手術から一か月と少ししか経っていないのに、もう再発?

うにがかかってしまった癌の恐ろしさに背筋が寒くなる思いだ。

思えば、4月に手術してくださったかかりつけのテシエ先生も、癌は外から見るより深く増殖していて、取り切れていない可能性も大きいとおっしゃっていた。それでも、皮膚を触ってはっきりわかるほどのしこりがこんなに速く、再び現れるとは想像していなかった。

とにかく検査の結果がでるまで考えすぎないようにしようと思ったのだが、気が付けばうにの病気のことで頭がいっぱいになっていた。また手術だなんて…。本当にうにがかわいそうだ。

そして、この細胞診から約一週間後。病院からの電話で癌が再発したという検査結果を聞いた。

ある程度こんな結果を想像して、心の準備もしてきたつもりだったが、やっぱりとてもショックだった。なにより、うにの身体に負担をかけて手術や放射線治療をしたのに、こんなにあっという間に再発してしまうなんて、癌って本当に残酷だ。

電話の会話は続いていたが、なんだか、頭の中が真っ白になってしまったように思えた。

一日おきの通院は、疲れるなあ